Truth is Beauty, Beauty is Truth

イギリスの若くして亡くなった詩人 ジョン・キーツの詩の言葉を借りました

自分にとっての 真実 とは 美しいもの とは …
9月20日新月に...

   「祝婚歌」          吉野 弘

二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて 不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい        ポケット詩集より

 

13年前の2004年にも このブログで紹介したこの詩

 

これまで結婚する身近な人々に 捧げてきた

 

改めてもう一度 この詩を振り返る

 

じっくりゆっくり 歩んできたあなたと

 

この詩を読みたい   
 

| ぽてとちきん | オススメ☆言葉 | 21:54 | comments(0) | - |
桃が美味しい季節に...

   

    「内部からくさる桃」    茨木のり子

 

単調なくらしに耐えること

雨だれのように単調な......

 

恋人どうしのキスを

こころして成熟させること

一生を賭けても食べ飽きない

おいしい南の果物のように

 

禿鷹の闘争心を見えないものに挑むこと

つねにつねにしりもちをつきながら

 

ひとびとは

怒りの火薬をしめらせてはならない

まことに自己の名において立つ日のために

 

ひとびとは盗まなければならない

恒星と恒星の間に光る友情の秘伝を

 

ひとびとは探索しなければならない

山師のように 執拗に

<埋没されてあるもの>を

ひとりにだけふさわしく用意された

<生の意味>を

 

それらはたぶん

おそろしいものを含んでいるだろう

酩酊の銃を取るよりはるかに!

 

耐えきれず人は攫む

贋金をつかむように

むなしく流通するものを攫む

 

内部からいつもくさってくる桃、平和

 

日々に失格し

日々に脱落する悪たれによって

世界は

壊滅の夢にさらされてやまない

(出典:茨木のり子『茨木のり子集 言の葉』ちくま文庫、p.37-38)

 

贋金をつかんだ結果 どうなるか

むなしく流通するものをつかんだ結果 どうなるか

歴史がみせてくれている

 

私たちは壊滅をみてはじめて 単調なくらしのすばらしさをしる

 

茨木さん どうか見守っていてください

現代の私たちが贋金を手放し むなしく流通するものを拒めるよう

 

 

| ぽてとちきん | オススメ☆言葉 | 12:50 | comments(0) | - |
"The Great Dictator"...


戦後70年の夏。

「ハンナ・アーレント」(2013)

「スペシャリスト/自覚無き殺戮者」(1999)

「善き人」(2008)

「シンドラーのリスト」(1999)

「独裁者」(1940)

に学ぶ...

These movies made me think and imagine, 

what it means to be involved with the power;

what it means to be carried away by the power; 

what it means to be under the power;

what it means to survive the power;

what it means to exercise the power;

what it means to BE the power;

what it means to NOT be the power;

and what it means to be a HUMAN.   
| ぽてとちきん | オススメ☆言葉 | 18:07 | comments(0) | - |
自分の手で表札を。

 「表札」
             石垣 りん


自分の住むところには
自分で表札を出すにかぎる。
 
自分の寝泊りする場所に
他人がかけてくれる表札は
いつもろくなことはない。
 
病院へ入院したら
病室の名札には石垣りん様と
様が付いた。
 
旅館に泊まつても
部屋の外に名前は出ないが
やがて焼場の鑵(かま)にはいると
とじた扉の上に
石垣りん殿と札が下がるだろう
そのとき私はこばめるか?
 
様も
殿も
付いてはいけない、
 
自分の住む所には
自分の手で表札をかけるに限る。
 
精神の在り場所も
ハタから表札をかけられてはならない
石垣りん
それでよい。
                        『石垣りん詩集』より

ほんとうにそうだ。

自分の働く場所にも 

自分の手で表札をかけるに限る。

ハタからかけられてしまったら 

その縛りの中でしか生きられない。

窮屈だ。


いつかその表札を捨て去り 

自分の手で新しくかけるのだ。

それが近い将来 実現するように。

願いをこめて。

| ぽてとちきん | オススメ☆言葉 | 15:02 | comments(0) | - |
雪が降ってきました
         「雪崩のとき」    石垣りん
人は
その時が来たのだ、という

雪崩のおこるのは
雪崩の季節がきたため と。

武装を捨てた頃の
あの永世の誓いや心の平静
世界の国々の権力や争いをそとにした
つつまし民族の冬ごもりは
色々な不自由があっても
また良いものであった。

平和
永遠の平和
平和一色の銀世界

そうだ、平和という言葉が
この狭くなった日本の国土に
粉雪のように舞い
どっさり降り積もっていた。

私は破れた靴下を繕い
編物などしながら時々手を休め
外を眺めたものだ
そして ほっ、とする
ここにはもう爆弾の炸裂も火の色もない
世界に覇を競う国に住むより
このほうが私の生きかたに合っている
と考えたりした。

それも過ぎてみれば束の間で
まだととのえた焚木もきれぬまに
人はざわめき出し
その時が来た、という
季節にはさからえないのだ、と。

雪はとうに降りやんでしまった、

降り積もった雪の下には
もうちいさく 野心や、 いつわりや
欲望の芽がかくされていて
”すべてがそうなってきたのだから 仕方がない”
というひとつの言葉が
遠い嶺のあたりでころげ出すと
もう他の雪をさそって
しかたがない、しかたがない
しかたがない 
と、落ちてくる。

ああ あの雪崩、
あの言葉のだんだん勢いづき
次第に拡がってくるのが
それが近づいてくるのが

私にはきこえる
私にはきこえる。           (1951.1)
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12月13日 特定秘密保護法が公布された。
共謀罪の創設が検討されはじめた。

同じく13日 エネルギー基本計画案が経済産業省から出された。
原発は「基盤となる重要なベース電源」とし、核燃料サイクルは「引き続き推進」する。
政府の「原発回帰」の姿勢が打ち出された。

同じく13日 政府の次期中期防衛力整備計画の全容が明らかになった。
2014年からの5年間でオスプレイ17機を自衛隊に導入。
離島防衛強化のため無人偵察機3機、水陸両用車52機の新規購入。
他に「機動戦闘車」を99両整備、最新鋭ステルス戦闘機を28機購入。
(沖縄タイムスより)

りんさん、
本格的な雪崩の季節が やってきたようです。         
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| ぽてとちきん | オススメ☆言葉 | 11:08 | comments(0) | - |
ふるさと便り
ふるさとの福井に 高校卒業ぶりに戻ることになった。

福井を出てから 東京やハワイで暮らして 早11年。

自分がやってきたことを生かせる仕事に 幸運にも巡り会い

この土地に再び戻ってこれたことに 不思議なご縁を感じている。


あんなに出たい出たいと思っていたふるさとも

たくさんの時間を経て 色々な経験を積んでから 戻ってみると

ものすごく新鮮で あったかくて ほっとする場所に変わった。


ふるさとに帰ったといっても 中学・高校のときのような閉じた感じはなく

新しい職場で 新たな人間関係 新たな仕事環境を 築いている。

様々な可能性に満ちていて とても充実しているし楽しい。

毎日奮闘して仕事をしていくことで わたしが生まれたこのふるさとに 

ちょっとでも 恩返しをできるとうれしいな。って思う。


もちろん 楽しいことばかりではなく 辛いこと大変なこともある。

どこにいっても パーフェクトな場所なんてない。

何年かしたら またここを離れることになるかもしれない。

でも 自分にとっては特別な場所。

戻ってこれて嬉しい場所。


家から職場までの道で 毎日癒してくれる 

緑の山々 広い空 夕日 月や星 家に帰っていく鳥たち。

橋を渡る度に 底知れぬパワーをくれる 九頭竜川。

ここは昔 大好きなおじいちゃんを 育んでくれた土地。

九頭竜川から感じるエネルギーのお話をしていたら 

おかあさんがふと口にした。

「きっと呼ばれたんだねぇ」

そうだね おかあさん。

呼ばれたのだったらなおさら

このご縁に うんと感謝して 生きていかねば。 


Fukui

               「鮎」     石垣りん
さかのぼるのよ。

どこか知らない

知らないところへ 

私たち。


空には幾筋もの流れ

かつてちちははが

光りに濡れてそこをたどった

地図にない川。


いま私の中の血が

私に命じる

帰って行けと。


ふしぎなふるさと

やがて何事かを果たし終わるところ。


初夏の早瀬に

つかのま見せた魚影

細い指先

あれはだれ?


こちらへ

と言って消えた。
               「空をかついで」より

| ぽてとちきん | オススメ☆言葉 | 15:21 | comments(4) | - |
美しい 夕暮れドキ。
 「夕ぐれの時はよい時」  堀口大学
夕ぐれの時はよい時。
かぎりなくやさしいひと時。

それは季節にかかはらぬ、
冬なれば煖炉のかたはら、
夏なれば大樹の木かげ、
それはいつも神秘に満ち、
それはいつも人の心を誘ふ、
それは人の心が、
ときに、しばしば、
静寂を愛することを
知つているもののやうに、
小声にささやき、小声にかたる……

夕ぐれの時はよい時。
かぎりなくやさしいひと時。

若さににほふ人々の為めには、
それは愛撫に満ちたひと時、
それはやさしさに溢れたひと時、
それは希望でいつぱいなひと時、
また青春の夢とほく
失ひはてた人々の為めには、
それはやさしい思ひ出のひと時、
それは過ぎ去つた夢の酩酊、
それは今日の心には痛いけれど、
しかも全く忘れかねた
その上の日のなつかしい移り香。

夕ぐれの時はよい時。
かぎりなくやさしいひと時。

夕ぐれのこの憂鬱は何所から来るのだらうか?
だれもそれを知らぬ!
(おお! だれが何を知つているものか?)
それは夜とともに密度を増し、
人をより強き夢幻へとみちびく……

夕ぐれの時はよい時。
かぎりなくやさしいひと時。

夕ぐれ時、
自然は人に安息をすすめる様だ。
風は落ち、
ものの響は絶え、
人は花の呼吸をきき得るような気がする、
今まで風にゆられていた草の葉も
たちまちに静まりかへり、
小鳥は翼の間に頭をうづめる……

夕ぐれの時はよい時。
かぎりなくやさしいひと時。
                    「ポケット詩集III」より

久しぶりの夕暮れどきを じっくり堪能…

あまりに美しくて 優しくて 温かくて。

オレンジのグラデーションに見とれていたら

5時を告げる 懐かしいメロディーが 流れてきた。

この部屋から見る夕焼けが とっても好きだった。

今のうちに この風景を 目の奥に焼き付けておこう。

目を瞑ったら この夕暮れどきを 瞼の裏に思い描けるように。


4月から 違う景色のなかに 身を置くことになる。

日常が変わる。

環境が変わる。

景色が変わる。

私も変わっていく。

変わらないものを 大事にして

変化を楽しめたら

きっとまた 大きく成長して いけるだろう。

希望でいっぱいの 始まりに向けて。

準備をしていかなくては。

| ぽてとちきん | オススメ☆言葉 | 17:05 | comments(2) | - |
まっすぐに
 『まっすぐ』 谷川俊太郎

キューピッドの矢のように まっすぐ
レーザーの光のように まっすぐ

まっすぐはとどく
まっ すぐは貫く
まっすぐは跳ね返る
まっすぐは終わらない

赤んぼの鳴き声のように まっすぐ
玉突きの玉のように まっ すぐ

まっすぐを生み出す力は
まっすぐではない
まがりくねり
せめぎあってる

*********************************************

まがりくねって せめぎあっていたら

いつかは まっすぐを 生み出せるかな!

ありがとう 谷川さん



| ぽてとちきん | オススメ☆言葉 | 10:50 | comments(0) | - |
こいって
               「鳩」        高橋睦郎  

その鳩をくれないか と あのひとが言った

あげてもいいわ と あたしが答えた

おお なんてかあいいんだ と あのひとがだきとった

くるくるってなくわ と あたしが言いそえた

この目がいいね と あのひとがふれた

くちばしだって と あたしがさわった

だけど と あのひとがあたしを見た

だけど何なの と あたしが見かえした

あんたのほうが と あのひとが言った

いけないわ と あたしがうつむいた

あんたが好きだ と あのひとが鳩をはなした

逃げたわ と あたしがつぶやいた

あのひとのうでの中で

                    『ポケット詩集』 より

鳩 飛んだ

きっと こーゆうこと

| ぽてとちきん | オススメ☆言葉 | 10:09 | comments(2) | - |
満月と灯篭流しと打ち上げ花火

気仙沼大島へ行ってきた

8月11日

震災から5ヶ月目の夜

気仙沼でみた

満月と灯篭流しと打ち上げ花火は

一生心に残るものになった

あんなに静かで 美しい花火は

今まで生きた中で みたことがない

色々な想いで

灯篭を流し 花火を見上げる人たちがいる

その想いが 夏の夜空に 静かに満ちていた

満月 と 打ち上げ花火
        (写真 By Gon-chan)

気仙沼の旅館の入り口に 掲げてあった詩

愛を知る県に住む 二人の兄弟からのお届けもの

花火を見ながら この詩の断片が浮かんでは消えた


生きているということ

いま生きているということ

それは…

     谷川俊太郎        「生きているということ」

 生きているということ  
 いま生きているということ
 それはのどがかわくということ
 木(こ)もれ陽がまぶしいということ
 ふっと或るメロディを思い出すということ
 くしゃみすること
 あなたと手をつなぐこと

 生きているということ
 いま生きているということ
 それはミニスカート
 それはプラネタリウム
 それはヨハン・シュトラウス
 それはピカソ
 それはアルプス
 すべての美しいものに出会うということ
 そして
 かくされた悪を注意深くこばむこと

 生きているということ
 いま生きているということ
 泣けるということ
 笑えるということ
 怒れるということ
 自由ということ

 生きているということ
 いま生きているということ
 いま遠くで犬が吠えるということ
 いま地球が廻っているということ
 いまどこかで産声(うぶごえ)があがるということ
 いまどこかで兵士が傷つくということ
 いまぶらんこがゆれているということ
 いまいまが過ぎてゆくこと

 生きているということ
 いま生きているということ
 鳥ははばたくということ
 海はとどろくということ
 かたつむりははうということ
 人は愛するということ
 あなたの手のぬくみ
 いのちということ
| ぽてとちきん | オススメ☆言葉 | 18:42 | comments(3) | - |

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